SPCはStatistical Process Controlの略で、データのばらつきが偶然の範囲内か、それとも何か異常が起きているかを管理限界(control limits)によって判定する手法です。 もともと1920年代にWalter Shewhartが製造業の品質管理のために開発しましたが、現在では医療分野でも感染率やインシデント発生率の監視に広く応用されています。 ## 管理図の種類 SPCにはデータの性質に応じた管理図が用意されています。 | 管理図 | 対象データ | 分母の扱い | |--------|-----------|-----------| | c-chart | 発生件数(カウント) | 分母が一定(毎月同じ患者数) | | u-chart | 発生率 | 分母が変動する(月ごとに患者数が異なる) | | p-chart | 割合(二値データ) | 分母が変動する | | Xbar-R chart | 連続量の平均と範囲 | サブグループ内の計測値 | | EWMA | 小さな変化の早期検出 | 過去のデータに重み付けをする | | CUSUM | 累積偏差の検出 | 平均からのずれを累積する | ## どれを使うか 感染率の監視で最もよく使われるのはu-chartです。月ごとにICU入院患者数が変わるようなデータでは、c-chartでは対応できません。u-chartは各月の患者数を分母として考慮し、管理限界の幅を自動で調整します。 EWMAやCUSUMは小さな変化をより早く検出できますが、リアルタイムの継続監視向けです。後ろ向きに「アウトブレイクがなかったこと」を示す場合は、u-chartの方がシンプルで解釈しやすいです。 Rでのu-chartの実装については [[R - u-chartで発生率を監視しよう]] を参照してください。 ## 参考文献 - Benneyan JC. Statistical quality control methods in infection control and hospital epidemiology. Infect Control Hosp Epidemiol. 1998;19(4):265-283. - Waqas A, et al. Application of statistical process control charts in healthcare quality improvement. Int J Qual Health Care. 2024.